暑中お見舞い申し上げます。
梅雨があけ、夏本番です(7月20日に書いています)。
その前の週には台風が通過しました。
近畿直撃は避けられましたが、中四国、山陰地方に上陸しました。これから夏本番。暑くなります。
熱中症には十分注意してください。
熱中症は梅雨明けの蒸し暑い日によく起こります。
このようなとき体はまだ暑さに慣れていないので熱中症が起こりやすいといわれています。
暑い日が続くと、体がしだいに暑さに慣れて(暑熱順化)、暑さに強くなります。
暑熱順化は、日常運動をすることによっても獲得できます。日頃からウォーキングなどで汗をかく習慣を身につけて暑熱順化していれば、夏の暑さにも対抗しやすくなり、熱中症にもかかりにくくなります。
熱中症の危険率が年々高まるのは、65歳以上の高齢者です。
これまでのデータ分析により、高齢者は気温35、36度付近で急激に発症する傾向があります。
高齢者の方は遠慮せずエアコンを使うべきだと思っています。若い人は涼しい恰好をして、水分・塩分を十分とり、エコな涼感グッズを使って我慢しましょう。
以前の院内報から引用しました。
最近の学校現場では、水分や塩分の補給に気を配り、熱中症の危険がある日は体育の授業を中止するなど、様々な対策がとられるようになりました。
スポーツのクラブ活動中、水を飲むことを我慢させた指導は今は昔、となったようです。
熱中症以外の夏の注意事項(毎年書いていますが、懲りずに今年も)夏バテ予防:ビタミン・ミネラルを十分摂って、規則正しい生活を心がけましょう。
冷たいのみものの摂りすぎにも注意。
食中毒:細菌をつけない・ふやさない、殺菌する。が予防のポイント。清潔・迅速に食材を保管調理する。
保存には冷却を、調理は加熱を心がけてください。
紫外線対策:日傘,帽子,長袖,長ズボンなどにより,皮膚に到達する紫外線を減らすように。
野外での活動は日焼け止め(サンスクリーン剤)を塗ります。
画期的な糖尿病治療デバイスが発表されました。適量のインスリンを自動的に投与する「スマート インスリン パッチ」の開発に成功したと、米国のノースカロライナ大学などが発表しました。
まだ動物実験の段階ですが、インスリン注射に代わる新たな治療法になる可能性があります。
「スマート インスリン パッチ」という貼り薬(?)で、肌に貼り付けておくだけで、血糖値の上昇を感知し、自動的に適量のインスリンを投与する世界初のデバイスです。
このスマート パッチを実用化できれば、痛みを伴うインスリン注射から解放されます。
スマート パッチは、1セント硬貨(直径19.05ミリメートル)ほどの大きさの正方形で、髪の毛の100分の1の精度のナノテクノロジーを応用して設計されており、100本以上のマイクロ針が埋め込まれています。
パッチは痛みを伴わず、体のどの部位にも貼り付けることができ、高血糖を感知し、インスリンが自動的に投与される仕組みになっています。
マイクロ針の内部には、「ブドウ糖反応性ベシクル」と呼ばれる小さいパケット(小包)が仕込まれている。
パケットは、疎水性(水をはじく性質)の部位と親水性(水となじむ性質)の部位からなり、内部にインスリンが収められています。
ブドウ糖濃度が高くなると、血糖値を感知する酵素が反応し、ベシクルが収縮し破裂し、内部に収められたインスリンを放出します。インスリンは皮下組織を通じて毛細血管に取り込まれ、血糖値を下げる仕組みとのことです。
スマート パッチをマウスに貼付すると30分以内に血糖値が抑えられ、その効果は最大で9時間持続し、副作用はみられませんでした。
ヒトを対象とした臨床試験が行えるようになるまでに多くの課題がありますが、実現すればより良好な安定効力を得られる可能性があります。また、マイクロ針に含まれる酵素の量を変えればインスリン投与量を変えられ、患者の個別の治療にも対応できるといいます。スマート インスリン パッチが実用化できれば、糖尿病治療に大きな変革をもたらすでしょう。早期の開発、実用化が期待されますね。
ISO9001の審査が7月18日金曜日に行われました。午前中の診療予約を制限させていただきました。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
在宅診療の書類、カルテ記載の不備を指摘されました。
しかし、初めて当院の診療手帳を取り上げていただき、Good point をいただきました。
これを機に、更に診療手帳をバージョンアップさせようと思います。
具体的には、受診病名を記載する、おくすり手帳と合体させて、薬のシールを診療手帳に貼付してもらう、他の病院に受診したとき、担当の先生にお見せして、一言書いてもらう、など進めていきたいと思っています。
それにより、その方の医療情報が集約された手帳になり、旅行の時の不意な救急受診それとあまりあってはいけないことですが、災害時などにも有効な一冊になるのでは、と考えいています。
AGA(エージーエー)とは、Androgenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」の意味です。
成人男性によくみられる髪が薄くなる状態のことです。
思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、どちらか一方、または双方から薄くなっていきます。
お医者さんに相談だ、という爆笑問題のCMでよく知られるようになりました。
頻度:
AGAの人は全国で1,260万人いらっしゃるとのこと。20〜69歳の成人男性4200万人の約3人に1人がAGAといわれています。
多いですね。
髪の毛は毛包で作られます。
毛包の根部には毛球があり、毛母細胞と毛乳頭からなっています。
髪は、1日に0.3〜0.5ミリ、1カ月で約1.2センチ、1年では約15センチ伸びます。
けれども髪は永遠に伸び続けるのではなく、一定の期間を経ると自然に抜け落ち、抜け落ちたところからまた新しい髪が生えてくる、ということをくり返しています。
1本の毛髪が成長しはじめてから抜け落ちるまでの周期を「ヘアサイクル」といい、平均して4〜6年の期間があります。
ヘアサイクルのうちのほとんどの期間は、毛母細胞が分裂し髪が伸びる「成長期」です。
成長期が長ければ、髪はその分長く成長し、また、太くなる傾向があります。
その後、成長が止まる「退行期」(2〜3週間)を経て、「休止期」(数カ月)になると、毛根の位置が浅くなり、その毛穴の奥で新たに成長を始めた髪に押し出されるようにして自然に抜け落ちます。
毛髪は1本1本ヘアサイクルが異なり、脱毛の時期がずれるため、通常は一度にまとめて抜けることはありません。
男性ホルモンの影響を受ける毛は、前頭部〜頭頂部の毛、あごひげ、腋毛、陰毛などです。
後頭部の毛と眉毛は影響を受けません。
AGAではヘアサイクルが短くなり、髪の毛が太く成長する前に抜け始めるため、細く短い髪の毛(軟毛)になります。
この軟毛化した髪の毛が増えることで、全体として薄毛が目立つようになります。
AGAは進行性です。
何もせずにほうっておくと下髪の毛の数は減り続け、徐々に薄くなっていきます。
そのためAGAは早めのケアが大切です。
円形脱毛症、ケルズス禿瘡(ケルズスとくそう・真菌が原因)、皮膚病、薬剤性、などの鑑別が必要なこともあり、医師の診察が必要です。
ちょっと難しい話ですが、AGAの脱毛部には
ジヒドロテストステロン(DHT)が高濃度にみられることが発見されました。
ジヒドロテストステロン(DHT)は、男性型脱毛症の最大の原因と言われている強力な脱毛作用のある男性ホルモンで、男性ホルモンのテストステロン(TH)が5αリダクターゼTypeIIという還元酵素により変換されてでき、これが毛乳頭細胞にある受容体に結合することにより、髪の成長を抑制するために髪が抜けていきます。
TH(テストステロン)は、毛髪を太くする作用がある(一般的に男性の髪の方が女性の髪より太いのは、男性の方がテストステロンの分泌量が多いためとされる)のに対し、ジヒドロテストステロン(DHT)は皮脂腺と毛乳頭に作用して毛髪が十分に成長することを妨げる作用があり、それはそのままハゲの原因になってしまうことである。
TH(テストステロン)は、
等の作用があり、
一方、ジヒドロテストステロン(DHT)は、
等の作用があると言われています。悪玉男性ホルモンですね。
日本皮膚科学会
男性型脱毛症診療ガイドラインではA評価を得ている発毛・育毛剤には、フィナステリドとミノキシジルがあります。
フィナステリドは飲み薬で、爆笑問題が宣伝していたものです。
元々は前立腺肥大や前立腺ガンの治療薬として開発されましたが、副作用として発毛効果があることが分かり、AGAの進行抑制のためにさらに研究が続けられました。
医薬品なので、医師の処方がないと処方できません。
しかし、保険は認められておらず、自費診療になります。
「フィナステリド」は成分名で、薬の名前はプロペシアです。服用の方法は内服(飲み薬)となります。
ジェネリック製品も出ています。
フィナステリドは、TH(テストステロン)をDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換する酵素である
5αリダクターゼ酵素を阻害する作用があります。
国内の臨床試験では、半年で48%、1年で58%、2年で68%、3年では78%と髪が増える人が経時的に増えていったことが確認されています。
上記の試験でも分かりますが、長期の服用により効果がみられる人が増えるということや、飲み続けないといけません。
もうひとつは塗り薬のミノキシジルです。
ミノキシジルは元々高血圧治療のための血管拡張剤として開発されました。
これまた投与した患者に副作用として多毛が見られたことから、頭皮に対する外用薬として研究され、製品化されました。
副作用から開発される医薬品は結構多いのですね。
ミノキシジルは頭皮の血管拡張を促しますので、フィナステリドとは異なり、はっきりとした発毛作用があります。
日本では大正製薬から出ている「リアップ」また「リアップ×5」という薬名で得られていますので、聞いたことがある、という方もおられると思います。
ミノキシジルは特に頭頂部分に効果があると言われています。
生え際やM字部分は血管に有効成分が届きにくいということで効果が少なめとのことです。
「ミノキシジル」と「フィナステリド」を組み合わせることにより、ミノキシジル=発毛促進、フィナステリド=抜け毛防止、として、いわば「攻撃」と「防御」という効果的な働きをします。
フィナステリドとミノキシジルが効かない人、重症患者などにその他の治療で注目されているのは植毛です。
これも自毛植毛手術で保険が効きません。
自分の後頭部にある皮膚の毛組織を一本ずつ切り取って毛分けし、薄毛部分に植えていく方法です。
植えた毛は一回抜けるが、毛包が生着すれば、新しい毛が生えてくる。
術後の発毛率が8割超などの効果があると言われており、自毛植毛手術はAGA治療ガイドラインではB評価、つまり行うように勧められるとしています。
保険の効かない自由診療なので、価格は病院によって異なります。
実施している病院は自毛植毛、大阪とネット検索するといくつか出てきます。でも、高いな。興味のある人は見て下さい。
もう一つiPS細胞による治療にも期待がもたれています。
iPS、薄毛治療の可能性=毛髪組織を部分再生―慶応大人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用い、毛髪を作り出す組織「毛包」を部分的に再生させることに成功したと、大山学慶応大専任講師らの研究チームが2013年に発表した。チームは「脱毛症の治療や、育毛剤開発につながる可能性がある」としている。
研究チームはまずヒトのiPS細胞を、皮膚になる手前の細胞に変化させた。
さらに、皮膚細胞に毛包を作るよう働き掛ける「毛乳頭」の代わりに、同様の力を持つ若いマウスの皮膚細胞を皮膚になる前の細胞に混合。
マウスに移植したところ、マウスとヒトの細胞が混ざった毛包の組織と毛髪ができた。
ヒトの毛乳頭には大量採取が難しいなどの問題があるため、今回は採取が容易な若いマウスの細胞を用いた。
ヒトiPS細胞から毛乳頭を作ることができれば、今回の方法を応用して完全なヒトの毛包を再生させることが可能になると期待できるという。これは期待できそうですね。
実用化まであと何年かかるでしょうか?
あと、一般的になりますが、AGA予防のため睡眠をよくとり規則正しい生活を送る、ストレスを避ける、シャンプーで頭皮の汚れをとる、禁煙、飲みすぎないようなどが重要です。
最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。
慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。
現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。
かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。
夏季休診のお知らせ
お盆休みのため 8/15(土)〜8/18(火)休診とさせていただきます。
ご迷惑をお掛けいたしますがよろしくお願いします。この院内報ですが、また、諸般の事情があり、7月は20日以降の発行となってしまいました。
8月はお盆休みまでに書きます。
14日までに発行予定です。