2015年 3月 No.112
ホームドクター通信

◆当院からのお知らせ

3月になりました。といっても、これを書いているのは中旬の15日。
年度末ということで、雑用が目白押しでした。
大阪府医師会の平成26年度在宅医療連携拠点事業、という在宅医療の推進に向けた泉大津市医師会の活動の報告書を12日までに提出しないといけなかったため、院内報が大幅に遅れてしまいました。
12月-1月並みに寒い日があったり、初夏を思わせる暖かい日があったり、と寒暖の差が大きいですが、確実に春に近づいて行っているようです。
今年は梅の花を咲いているのをみかけたので、春を感じました。
インフルエンザは下火になってきたようです。このまま終息してくれるのを期待しています。
住民健診が3月末で一旦終了します。
次年度の住民(特定)健診は5月中旬からの予定です。
ご希望の方は受付で予約をお取りください。

シダトレン

昨年5月の院内報で説明した舌下免疫療法「シダトレン」が発売になり、講習会、e-learningを受けて、当院でも処方できることになりました。
花粉の飛んでいる時期に開始するのは禁止されています。
スギ花粉飛散の終了した6月からの開始が望まれます。
適応はスギアレルギーのみです。スギのアレルギーが証明されている方は是非ご考慮ください。

泉州マラソン

もう一か月前になりますが、2月15日に泉州マラソンに参加してきました。出場はしたのですが、右下肢痛のため29km付近でリタイアしました。
左膝を痛めてしまったので、ちょっと安静にして、またトレーニング再開しました。
2月11日のトレーニング中、10km走ったくらいから、右の下腿に違和感があり、そのままもう少し走っていたら、痛みとなり、走れなくなってしまいました。
12日は歩いていても右の下腿が痛い状況でした。
12日の夜に先輩の整形外科の先生に診てもらったところ、右下腿の肉離れ、と診断されました。
疲労骨折かと思っていたら、骨折ではなかった。
で、まあ出るだけ出て、ダメならリタイアしたら、とその先輩には言われました。
その後は当然安静にしていましたが、前日の14日にも痛みはおさまりませんでした。
家族には、もう15日は出ない、と言っていました。
マラソンスタート前に、スタート地点で参加記念品だけは受け取りに行くつもりでした。で、15日朝起きたところ、ちょっとだけ痛みが和らいでいたので、10kmくらいは走れるかなと思ってランニングする格好だけして、スタート地点に向かいました。
スタート地点までの途中、同じ医師会の先生がいて、その先生は救護班で10kmの地点で収容バスに乗っているとのことで、そこまで行くことにしました。
実はスタート地点に向かって歩いているときも右下腿は痛かったんです。
でも、荷物預けた時点で参加することは決まってしまって、スタート地点に立ちました。

スタートしたら、まあ痛いけど、アドレナリンがでていたためか、10kmまではいつものスピードで走れました。
医師会の先生が10km地点で待ってくれていましたが、もうちょっと行ってみますわ、と言って通過しました。

15km地点で、大津川の忠岡町関係者に見つからないよう人混みに隠れて走っていたのですが、忠岡の交差点でオクカメラの社長に見つかってしまい、大騒ぎされて、マイクで名前を呼ばれてしまいました。
出場4回目で、忠岡で名前を呼ばれたのは初めてでした。
でも、20kmくらいから、次第に痛みが増強して、25kmくらいからは歩いたり走ったりしてました。
で、一応関門の制限時間以内ではあったのですが、29km地点の第四関門でリタイアしました。
あと、時速8kmでいけば5時間以内でゴールできるはずだったのですが、橋も2つ超えないといけないし、この痛みではとても無理と判断しました。
収容バスでゴール地点に向かい、帰ってきました。

実は今でもまだ右下腿が痛いです。運動はできていません。
まあ歩くくらいは大丈夫です。当分、ランニングはできそうもないな、、というところです。

先輩には、左足関節にプレートがはいっているから、無意識のうちに右に重心がかかって、負担になっていたのかも、と言われました。だったら、左足関節のプレート抜こうかな、とも考えているところです。

4月10日金曜日、学会参加のため、午前診察を午前11時で終了させていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

水曜と木曜の夜診察を休診とさせていただいています。

◆血栓・抗血栓療法

今回は血栓・抗血栓療法についてお話しします。
血栓とは、血液の塊のことです。
この血液の塊の血栓が大きくなり、血管を詰まらせるのが血栓症です。
血栓が剥 がれて血流に乗って飛んでゆき、血栓ができたのと違う場所で詰まることを塞栓症(そくせんしょう)といいます。
脳の血管に血栓がつまれば脳梗塞、心臓を栄養する冠状動脈で詰まれば心筋梗塞、下肢の静脈で詰まれば深部静脈血栓症、主
に下肢の静脈でできた血栓が飛んで行って、右心房-右心室を経て肺動脈に入り、肺動脈で詰まると肺塞栓症となります。

血栓ができるのはなぜ?

健康な人では、血液は体の中をスムーズに流れ、固まって血栓ができることはありません。
では、血栓はなぜできるのでしょうか。
まず、止血の仕組みについて説明します。
血管が傷ついて出血した場合、出血が止まらないと循環する血液が少なくなり、生命にかかわる危険な状態になります。
そこで、血液の流出を防ぐ仕組みが働きます。これが「止血」です。
止血には二つの段階があって、まず一次止血と呼ばれる仕組みが働きます。
この際、血液中の「血小板」が重要な働きをします。血小板が血管の傷ついた部分にくっつき、止血が始まります。
さらに血小板同士が集まって塊を作り、損傷部をふさぎます。これが一次止血です。
次に、この塊をより強固なものにするため、血液中のもう一つ重要な因子である「凝固因子」が働きます。
凝固因子は数多くあって、複雑にお互いに反応、制御しあって最終的に「フィブリン」という糊(のり)のようなものをつくります。
この凝固因子の反応は、血小板膜の表面や、または血小板がちぎれてできた断片の表面で加速され、血の塊を強固にし、出血を止めます。
この血の塊が「血栓」なのです。ですから、血栓ができるには血小板と凝固因子が欠かせません。
しかし、動脈系にできる血栓と静脈系にできる血栓は出来方が異なります。
その二つの血栓のでき方はどう違うのでしょうか。
ずり応力という概念で説明されていますが、ちょっと難解なので、ここでは流れの速い動脈での血栓は血小板が重要な役
割を果たしていて、流れの遅い静脈での血栓形成は凝固因子が重要な役割を果たすということでご理解ください。

動脈系にできる血栓

歳をとるにつれ、血管も老化します。
さらに喫煙、肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病などの条件が重なると、動脈硬化が進みます。
動脈硬化が起こっているところでは、血管壁にコレステロールなどがたまって、おかゆのような状態「粥(かゆ)状」になり、血管の内側を狭くする一方、動脈硬化の部分が破れると内皮がはがれ落ち、血管がけがで傷ついたのと似たような状態になります。
傷ついた部分に血栓ができ、この塊が大きくなって、血液がその先に流れなくなると、血栓症を起こすわけです。
動脈の内面にできた血栓がはがれて血流に乗り、その先の血管を詰めてしまうことがあります。これが塞栓(そくせん)症です。

静脈系にできる血栓

動脈に比べ血の流れが遅く、血圧も低いために、滞りやすくなります。
例えば、手術後に長い間ベッドに寝たままになっている場合などがそうです。
この場合は、下肢での血のめぐりが悪くなることで、血の流れが停滞しがちになり、血栓ができやすくなります。
エコノミークラス症候群では、飛行機の狭い座席に長時間座ったままの状態が続くことで、静脈の流れが滞り、血栓ができます。
この血栓が血流に乗り移動し、肺動脈にひっかかって肺塞栓が起こるのがエコノミークラス症候群です。
心房細動で心臓の中で血液の流れが悪くなって血栓ができ、それが流れ出て脳塞栓症が起こるのも、これと同じようなメカニズムです。

血栓症の種類

抗血栓療法

動脈硬化のおこった部分にできた血栓が大きくなる、血栓が飛んで行って他の部位の血管を閉塞させてしまうと、重大な症状を起こしかねません。病的な血栓・塞栓症を予防するのが抗血栓療法です。
抗血栓療法には抗血小板療法、抗凝固療法、血栓溶解療法があります。
このうち、血栓溶解療法というのは血栓形成急性期に限り行われる治療法であり、一部の急性心筋梗塞、脳梗塞、肺血栓塞栓症が適応となります。
主に病院で血栓のできた急性期に注射またはカテーテルで行う治療です。

抗血小板薬は血流の速い動脈系の血栓症を予防する目的で用いられます(心筋梗塞予防,アテローム血栓性脳梗塞予防,末梢性動脈疾患)。
アスピリンがよく使われますが、シロスタゾール、チクロピジンというアスピリンとは作用機序が少し異なる抗血小板薬もあります。 
抗凝固療法は主として血流の遅い静脈系の血栓症予防を目的として用いられる薬物であり、心房細動による血栓塞栓症予防、下肢静脈血栓症、肺血栓塞栓症、人工弁などが適応となります。注射薬もあります。

一般に経口で使われる薬は今まではワーファリンだけでしたが、最近になり、新規抗凝固剤が使用可能となりました。
ワーファリンはいい薬なのですが、効き方に個人差があり、ほぼ毎回血液検査で、PT-INRという数値を指標にして効果をみないといけませんでした。
また、ワーファリン服用中は納豆、クロレラ、モロヘイヤは食べてはいけないとされ、また併用できない医薬品も多くありました。
新規抗凝固剤はそのような制限が少ないとされています。
今後、ワーファリンに変わって、新規凝固剤の使用が増えていく可能性が高いようです。

抗血小板薬、抗凝固剤を併用することにより、血小板と凝固系の両方を抑制すれば血栓予防効果の増強が期待されますが、一方で、出血リスクは高まります。 
また、抗血小板薬、抗凝固薬服用中は、出血すれば、血が止まりにくいことが予想されますので、手術のとき、内視鏡などの検査、処置、のときは休薬しないといけないことがあります。
指示に従って休薬するようにしてください。体表の手術、抜歯などは抗血小板薬、抗凝固剤とも継続のまますることがあります。

予防

薬を指示通り服用することも必要ですが、血栓予防のためには日常生活での予防も重要です。
米国心臓学会では提唱している7つの簡単な方法「ライフ シンプル 7」の実行の程度にもとづいて、参加者の心臓の健康状態を評価しました。
研究チームは、参加者を心臓の健康状態で不適切群、平均群、最適群の3群に分け、血栓発生率を比較しました。
その結果、不適切群に比べ、最適群では血栓リスクが44%低く、平均群では38%低かったとのことです。
運動をして標準体重を維持することが、血栓リスク低減におけるもっとも重要な2つの因子であることが判明した。

以下項目だけあげておきます。

心臓病を防ぐ7つの簡単な方法
(ライフ シンプル 7)

  1. 運動をする
  2. コレステロールを管理する
  3. 健康的な食事
  4. 血圧を管理する
  5. 標準体重を維持する
  6. 血糖値を下げる
  7. たばこを吸わない

いずれも生活習慣病の予防に一致するものです。生活習慣に気を付け、必要があれば薬を服用して、血栓症を予防するようにしましょう。

 

◆かかりつけ患者さん募集中

最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの?

かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。

以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。

◆編集後記

お知らせ
水曜日、夜診、正式に休診として、保健所に届けて受理されました。
まだ診察券とか、HPとか、看板には不備がありますが、徐々に変更していきます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。