ホームドクター通信
2006年8月 No.11
◆暑中お見舞い申し上げます

 長かった梅雨もあけて、本格的な夏になりました。訪問診療していても、夏の日差しの強さや車に乗り込むときの熱気にまいっています。皆様も脱水、寝不足、熱中症などには十分注意してください。


当院からのお知らせ
 
 ISO9001二年目の継続審査が8月11日金曜日にあります。現在その準備に追われています。
審査員の申し出により、9時から10時過ぎまではミーティングに当てられますので、通常の診療ができないと思います。医院は開けてはいますが、予約はその時間帯には取らないようにしています。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

 先月号の痔の新しい治療、でご紹介しました痔核輪ゴム結紮が当院でも行えるようになりました。
今までは徳洲会の肛門科に受診して頂いていましたが、その必要がなくなると思います。適応は、排便後に痔核が脱出してきて、自分で押し込まないと戻らない方です。この治療は無麻酔で外来で、何回も出来るので便利ですが、この治療が適当かどうかは診察で判断しますので、またご相談ください。

 今週取り上げます糖尿病の検査であるヘモグロビンA1cが院内で出来るようになりました。
糖尿病治療中、血糖が不安定な方、ヘモグロビンA1cの値で治療が変わる方については院内検査で行います。結果は採血後10分〜20分程度で出ます。より適切な管理が出来るのではないかと期待しています。

 現在胃の内視鏡の機械に不備があり、検査が出来なくなっています。
ご迷惑をおかけしますが、胃の内視鏡の必要な方につきましては、近隣の病院に紹介させていただきます。次は鼻から挿入する内視鏡を導入する予定で、現在機種選定中です。口からいれる内視鏡より咽頭反射が少ない分、楽に検査ができるようです。近日中に検査が再開できるものと思います。当院での検査を希望され、検査再開をお待ちになっている方もおられますので、なるべく早くできるようにします。  



◆夏季休暇のお知らせ

 8月14・15.・16日は休診となります。ご了承ください。
薬が足りなくなるなどは当方も気をつけますが、皆様も注意しておいてください。
休暇中も電話はつながります。突然具合が悪くなった、などありましたら医院に電話いただければ、連絡はつきます。そのときに診察が出来るかどうかはわかりませんが、出来ないときは他の病院を紹介するなどの対処はさせていただきます。




◆特集:糖尿病について


糖尿病ってどんな病気?

 糖尿病とは血液中のブドウ糖(血糖)が高くなる病気です。原因は膵臓から分泌される血糖を下げるホルモン・インスリンの作用不足です。自己免疫が原因の1型糖尿病と、生活習慣などが原因で発症する2型糖尿病があり、ここでの糖尿病は2型糖尿病のことを意味しています。

 糖分を含む食べ物は唾液や消化酵素でブドウ糖に分解され、小腸から血液中に吸収されます。食事によって血液中のブドウ糖が増えると、すい臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖が筋肉などに送り込まれエネルギーとして利用されます。そのため「インスリンの作用不足」が起こると、血液中のブドウ糖を上手に処理できなくなり、血糖値の高い状態が続くようになります。
「インスリンの作用不足」には2つの原因があります。1つは、すい臓の働きが弱くなりインスリンの分泌量が低下するため(インスリン分泌低下)、もう1つは肝臓や筋肉などの組織がインスリンの働きに対して鈍感になり、インスリンがある程度分泌されているのに効きにくくなるため(インスリン抵抗性の発現)です。糖尿病では体質以外にも、肥満や運動不足や食べすぎといった生活習慣の乱れが、「インスリン分泌低下」や「インスリン抵抗性」の発現を引き起こすと考えられています。


糖尿病の人はどのくらいいるの?

 平成9年の糖尿病実態調査によると、「糖尿病が強く疑われる人」の690万人と「糖尿病の可能性を否定できない人」の680万人を合わせると、全国に1,370万人いると推定されています。でも、糖尿病で治療を受けている人は約212万人(平成11年患者調査による総患者数)しかいません。糖尿病ははじめのうち、痛みなどの自覚症状がありません。検査で血糖値が高かったり、治療が必要といわれたことがあっても、そのまま治療を受けない人が多いことが予想されます。


糖尿病を放置するとどうなる?

 合併症が起こります。体のなかで最も高血糖の影響を受けやすいのは末梢の神経と細い血管です。そのため糖尿病では足の神経、目の血管、腎臓に障害があらわれてきます。それが進行すると、足の感覚が鈍くなったり、失明、透析など社会生活に大きな支障をきたす恐れが出てきます。




















糖尿病の検査・コントロール

 糖尿病の初期は自覚症状がほとんどありません。病状を把握するためには血糖値やヘモグロビンA1c(エイワンシー)を継続的に検査することが必要です。


血糖値

 血糖値は糖尿病コントロールの指標として用いられます。糖尿病では食前の血糖値が高い場合と食後の血糖値が高い場合、または両方が高い場合とさまざまなタイプがあります。そして最近では食後の血糖値の上昇と脳卒中や心臓病との関係が注目されており、食前の血糖値だけではなく食後の血糖値もしっかりコントロールする必要があります。 


ヘモグロビンA1c

 血糖値が高くなるとブドウ糖が赤血球の中のヘモグロビンと結合します。これがヘモグロビンA1cと呼ばれるもので、血糖値が高いほどヘモグロビンA1c値も大きくなります。この値は、赤血球の寿命(約4ヵ月)から過去1〜2ヵ月の血糖コントロール状態を示していると考えられています。ヘモグロビンA1c値は合併症の進行と深く関係しており、6.5%未満がコントロールの目安となります。
ヘモグロビンA1c値を体温に置き換えてみましょう。ヘモグロビンA1c値に30を加えてみます。その数値を体温に置き換えてイメージするとどうでしょうか(下記図)。























自分のヘモグロビンA1c値がどういう状態を意味しているのか理解して治療に取り組みましょう。
糖尿病の治療につきましては、次号でお届けします。






















◆かかりつけ患者さん募集中

 最近の医療は病気の診療だけではなく、病気の予防、早期発見、初期治療に重点が置かれています。
そのためには、「かかりつけ医」として日常的に気軽に診療や健康診断を受けることができる医院を目指すことが大切だと考えます。
当院では「かかりつけ患者」として下記に同意していただける方を募集しています。興味がございましたらスタッフまでお尋ねください。

何をしてくれるの? かかりつけ患者になるには?

慢性疾患をお持ちで、月に一度は当院に定期的に受診される方のうち、下記の項目に同意していただける方です。
以上を納得され、書面にサインしていただける方を当院のかかりつけ患者として登録させていただきます。

現在のところ、何かあれば当院に受診される方、住民検診などを当院で受ける方はかかりつけ患者の範疇にはいれていません。風邪をひいたら、今回はあそこの診療所、次回は○○病院という方もご遠慮いただいています。

かかりつけ患者になって総合的に管理してほしいと思われた方がいらっしゃいましたらお気軽にスタッフまでお声をおかけ下さい。



◆編集後記

今回も少し遅れてしまいましたが、糖尿病特集はいかがでしたか?

文章が長くなりましたので、今回は病気の説明になりました。次号で治療法について書きたいと思います。お楽しみに。


いつも原稿の遅れのお詫びばかりで申し訳ありません。患者様のお役に立てればと思い頑張ってまいります。

ご意見・ご感想などもお気軽にお聞かせください。