2014年 10月 No.107
ホームドクター通信

◆当院からのお知らせ

もう、10月です。早いです。急に寒さを感じるようになってきました。
特に朝晩は冷え込みますが、日中はまだ暑さを感じます。
寒暖の差が大きいので、体調管理には十分御留意ください。
秋が深まってきている感じることができます。
夏生まれで、夏が好きな私としては寂しいかぎりです。
そういえば、夏が終わるとはよく言いますが、秋が来た、、とはあまりいいませんね。何故なんでしょう?私だけ?
台風のシーズンでもありますね。
10月に入ると急に年末までのカウントダウン・モードに入ります。
途端、年末・年始の予定が気になり出してきます。
クリスマス、おせち料理とか年賀状など。
2015年用の年賀状の発売日は2014年10月30日(木)だそうです。ネット予約はもう始まっているとか。また住所録の見直しをしないと。半日かかるんです。

水痘ワクチン予防接種が10月1日より定期化されています。

最近あまり小児をみていませんが、ご希望があれば、予防接種はします。
受付で予約してください。

インフルエンザ予防接種

本年9月10日、松原市内の小学校でインフルエンザによる欠席者が16名に達したことが報告されました。当院でも一名インフルエンザがでています。
時期的に少し早い発生で、季節性インフルエンザのと考えられますが、新型の可能性も懸念されます。
10月1日よりインフルエンザ予防接種を行います。
1回2500円、2回目は2000円、忠岡町在住の65歳以上の方は1000円です。
一昨年からWHO推奨を受けて、3歳以上13歳未満は成人量と同じ0.5mlの二回打ちを推奨しています。
13歳以上は0.5ml接種、一回またはおよそ1-4週の間隔をあけて2回となっています。
インフルエンザワクチンは打てば必ず発症がおさえられるというワクチンではありません。
その役割はかかりにくくすることと、かかっても免疫があるために重症化しないこと、です。
ワクチン接種により死亡者や重症者を減らすことが期待されています。ワクチンの予防効果持続期間はおよそ5カ月と推定されています。
ワクチンの接種を受けていても、日頃から手洗い・うがいをきちんと行い、流行時期は人ごみをさけて感染機会を減らすことが大事です。

iPS細胞を使った臨床治療が開始されました。
「滲出型加齢黄斑変性に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)シート移植に関する臨床研究」において、平成26年9月12日に先端医療センター病院にて移植手術を実施し、その後同院に入院をしていた第一症例目の被験者が、退院されたことがわかりました。術後経過は順調だったようで。
これからのiPS細胞を使った治療に期待したいです。

昨年11月に事故に遭って以来、少しランニングから遠ざかっていましたが、またぼつぼつ再開しました。でも、まだ5‐10km程度走るくらいですが。
まだ足にはプレートが入っています。多少違和感はあるのですが、またランニングを続けることができそうです。ランニングできなくなったら、ゴルフでもしようかな、と思っていましたが、まだゴルフはしなくてもすみそうです。
トレーニングは開始していますが、もう少し身体を絞らないといけません。
泉州マラソンには応募しました。でも、今年から抽選になったので、出場できるかどうかはまだわかりません。

10月1日は当院の開院記念日です。
平成12年に継承し、今年開院14年目になります。
これからも皆様のご意見をお聞きしつつ、ご利用していただける方の健康管理・満足度の向上に努めていきたいと思います。

また月一回の院内報だけでなく、新しいメディア、ツィッ ター、フェースブック、LINEなどを利用した情報発信を3年前から画策してます。最近ツィッターに投稿したら、フェースブックに転送される方法を教えていただきました。また医療情報など投稿してみたいとおもっています。
情報発信システムの構築は自力では時間的に無理なことが判明していますので(内容を投稿するだけ)、またどなたかの力を借りて始めてみたいと考えているところです。

予約システムはまだ導入できておらず、御迷惑をおかけします。まだ業者選定中です。
できるだけ早く導入しようと思っています。新しいシステムが入るまでは、電話での予約をお願いします。
※ 診療時間中と月〜金の昼の時間帯にお願いします。

エボラ出血熱は拡大の様子をみせていますね。
アメリカにも患者がでたとか。
日本の富士フイルムのグループ会社が開発したインフルエンザの治療薬「ファビピラビル」に期待がかかっているようです。

★休診のお知らせ★

水曜の午後診療を休診として、保健所に届けることにしました。
御迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

◆地域包括ケアシステム

先日の敬老の日

平成26年9月15日時点で100歳以上となる高齢者は5万4397人で過去最多を更新したことが厚生労働省の調査で分かりました。100歳以上の人数は調査が始まった1963年が153人でしたたが、98年に1万人を超え、昨年に5万人を突破。近年は1年に3千〜4千人台のペースで増えています。
ちなみに、2013年の日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳で、いずれも過去最高を更新し、男性が初めて80歳を超えました。女性は2年連続世界一、男性は前年の5位から4位に上昇しています。長寿国ですね。
また、日本は、諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。
 65歳以上の人口は、現在3,000万人を超えており(国民の約4人に1人)、2042年の約3,900万人でピークを迎え、その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。また、少子化は進む一方。
 このような少子高齢化の状況の中、団塊の世代(約800万人)が75歳以上となる2025年(平成37年)以降は、国民の医療や介護の需要が、さらに増加することが見込まれています。これは、何が問題なのかというと高齢者の医療費・介護費が増大し、国家の財政を圧迫することです。さらに、今後病院の病床が増えない方針のため、今では80%以上の方が病院で亡くなっていますが、多死時代を迎えることにより病院でのベッドが足りなくなる可能性があるということも問題になっています。
 このため、厚生労働省においては、2025年(平成37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと、2014年6月に社会保障制度改革に関する法案「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」を成立させました。この中で、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進することと、地域包括ケアシステムの構築を推進することが謳われています。医療に関する法律はこの10月から施行されています。

地域包括ケアシステムとは

地域包括ケアの図地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り。住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制のことをいいます。具体的には図に示すように、住まいを中心として、介護予防のサービスを受けながら、必要があれば介護、医療が必要であれば、かかりつけ医の診療を受け、急性の病気が発症すれば病院に、急性期を脱すればまた地域にもどる、という一体型のサービスを提供するものです。地域包括ケアシステムでいう地域とは、概ね30分以内に行ける地域(中学校区を目安)が想定されています。

地域包括ケアシステム概念図(5輪の花)

地域包括ケアシステムという言葉は、は広島の公立みつぎ病院の山口先生が昭和59年に初めて使われました。
寝たきりゼロ作戦として医療だけでは駄目で、地域全体で高齢者をみる必要がある、と始めたものが最初とされています。地域包括ケアの研究会初年度(平成20年)には,介護のみならず医療・予防・住まい・生活支援を同じサイズの円で描いた,いわゆる「5輪の花」図が報告書で提示されました。

地域包括ケアシステム概念図(植木鉢図)その後、研究の変遷を経て、現在は植木鉢図と呼ばれる図が地域包括システムの概念図として提示されています。
必要な構成要素を概説します。

【本人・家族の選択と心構え】:土壌・土台
単身・高齢者のみ世帯が主流になる中で、在宅生活を選択することの意味を、本人家族が理解し、そのための心構えを持つことが重要。

【すまいとすまい方】:植木鉢
生活の基盤として必要な住まいが整備され、本人の希望と経済力にかなった住まい方が確保されていることが地域包括ケアシステムの前提。
高齢者のプライバシーと尊厳が十分に守られた住環境が必要。
自宅だけでなく、サービス付き高齢者住宅のような施設も視野にいれています。

【生活支援・福祉サービス】:土
心身の能力の低下、経済的理由、家族関係の変化などでも尊厳ある生活が継続できるよう生活支援を行う。
生活支援には、食事の準備など、サービス化できる支援から、近隣住民の声かけや見守りなどのインフォーマルな支援まで幅広く、担い手も多様。
生活困窮者などには、福祉サービスとしての提供も。

【介護リハビリテーション・医療・予防】:葉
個々人の抱える課題にあわせて「介護・リハビリテーション」「医療・看護」「保健・予防」が専門職によって提供される(有機的に連携し、一体的に提供)。
ケアマネジメントに基づき、必要に応じて生活支援と一体的に提供。

上記により提供されるシステムが地域包括ケアシステム、言い換えればケア付き コミュニティの創設です。

「財政危機下」の「人口減少下の少子高齢社会」において、 高齢者を在宅で支える社会システムとしての「地域包括ケアシステム」
そこでの満たすべき条件を再整理すると、おおむね以下のようになります

  1. 医療が必要な高齢者や重度の要介護高齢者についても、可能な限り在宅で生活 できるよう支えるシステム
  2. 一人暮らし高齢者や、虚弱な長寿高齢者を在宅で支えるシステム
  3. 長寿化に伴い、増加が見込まれる「認知症高齢者」を在宅で支えるシステム
  4. 入院しても、円滑に退院が可能となるシステム
  5. 在宅での看取りができるシステム
  6. 利用者や家族のQOLの確保 ができるシステム

このようなことをどうやって構築していくのか、ひとつひとつ今後考えていく必要があります。
在宅での看取りができるシステム構築、については11月29日土曜日午後1時半から泉大津市民会館で人生最期のとき、あなたはどこで暮らしたいですか?という市民公開講座があり、そこで私も発表します。
また、来月か再来月の院内報に書く予定です。
地域包括ケアシステム、どこが主導となるか?厚生労働省は市町村・いわゆる行政と考えていますが、大阪府医師会は地区医師会が主導となるべき、と提言しています。
大阪府医師会では地区医師会に地域医療連携室を設定して、急性期病院、地域包括支援センター、施設、在宅医、訪問看護などを提供するシステムを考えています。
私も委員の一人として参加する大阪府医師会の介護・高齢者福祉委員会の会長諮問事項が、地域包括ケアシステム構築に向けた医師会が担うべき役割と課題について、となっており、この2年間で検討されることになっています。
また、地域においても、泉大津市医師会の在宅担当理事として、医療介護の資源を把握し、医療介護・急性期病院とかかりつけ医の連携のことを今後のことを考えていかないといけません。
また、ご意見がありましたら、お聞かせいただくようお願いします。

◆編集後記

院内報、1日発行を目標としていますが、今回10日近く遅れてしましました。
理由は特集でとりあげた地域包括ケアシステムの資料が膨大だったため、消化するのに時間がかかったためでした。
また来月からは1日発行とするよう頑張ります。