2014年 3月 No.100
ホームドクター通信

◆当院からのお知らせ

3月も後半となりました。5月かと思うような暖かい日があったかと思うと、一転また冬に逆戻り、など天候は不安定。
今年は2月の大雪のイメージが強く、まだ3月になっても寒いのかな、と思っていました。

しかし、季節は確実に春に向かっています。
桜の開花宣言がなされ、もうそろそろお花見のシーズンです。


個人的には3月はとても忙しかったです。泉大津市医師会の在宅担当理事を仰せつかっている関係で、3月1日の市民フォーラムを含め、講演が4回。大阪府医師会から、在宅医療推進支援事業として、補助金を受けていましたので、その運用報告。また今年度も応募するのなら申請書を3月28日までに出せ、というお達しもあり。睡眠時間を少し削って申告書、スライドなど書いていました。やっと一段落しました。

インフルエンザは峠を越えたようです。
新型インフルエンザがいつでるのか?パンデミックになるのか?などと心配はしていましたが、今シーズンはなかったので、良かったです。
でも、まだ少しずつは出ているようなので、注意は必要です。

祝!院内報・100号

今回、めでたく100号目の院内報を送ることができました。
平成17年4月より、院内報の発行を開始し、平成18年6月よりは、月一回のペースを守って発行してきました。院内報は当院ホームページより閲覧できます。
Google検索 真嶋医院 で当院のHPが検索されます。
その左側のバーの院内報をクリックしていただくと、過去の院内報記事が読めます。
月一回の発行で、、当初は月初めの発行をしていたのですが、
段々遅れ気味になり、今では月末に発行することが多くなっています。
スタッフからは1回休んで、月初めの発行にしたらどうですか?と言われますが、私自身月一回の発行にこだわっています。
なので、徐々に発行する日を早くしていく、という方法を考えているのですが。なかなかうまくいきません。
今年の目標のひとつに"院内報を月初めに発行する"を入れておきます。
ありふれた病気のことをわかりやすく解説する、当院からのお知らせをお伝えするために始まった院内報です。
途中何度もやめようか、と思ったことがありますが、"読んでますよ"とお言葉を頂き、続けることができました。ツィッターやフェイスブック、ブログなどでいろいろ情報を書き込みながら月に一度院内報としてまとめる、という試みもしてみました。
しかし、私の性格では続かないということが判明しました。毎日催促してくれたら、続くんでしょうけど。
色々試行錯誤を繰り返しながら、月一度の院内報は続けます。

本年度の忠岡町特定健診・後期高齢者健診、一旦終了しています。
次回は5月19日から新年度が始まります。

STAP細胞

先月の院内報でもお伝えしたSTAP細胞。Nature に発表はしたものの、再現性がないとのことで、本当にあったのかどうか疑問視されています。
更に、大学の学位論文でもコピペ(他の人のかいたものをコピーして、そのまま
自分の文書にはりつけること)も指摘されています。
引用として、本文中で断って、参考文献に記録しておけばすむことなのですが。それがないと自分で研究開発したことになってしまいます。
あの外見から、とてもしっかりした人のように見えたのですが。
iPS細胞が開発から数年でノーベル賞受賞に至りました。
その理由のひとつが他の研究者の再現がされやすかった、誰にでも幹細胞が作れたからです。
山中教授は、こんな簡単な方法で幹細胞をつくることができる、と発表まで極秘にしていたようです。
再現性がない研究は、残らないでしょうね。
個人的には小保方さんをとっても応援していたので、残念です。
STAP細胞に一縷の望みがあるのなら、また蘇ってほしいです。

休診のお知らせ

都合で水曜日午後の診察を休診にしています。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。

◆在宅医療

在宅医療:住み慣れた家で 過ごすということ
人生の終末期を考える。

平成26年3月18日に、忠岡町役場で新日本婦人の会の方々の前で在宅医療を通して、人生の終末期を考えるというお話をしてきました。
大阪府医師会の事業の一環で、市民の方を対象に在宅医療について、と認知症についての啓発を今後していくよう要請されています。
今年度もこのようなお話を、何箇所かでする予定です。今回の院内報ではこの時にお話した内容を紹介します。

高齢化社会

日本では諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行しています。
現在65歳以上の高齢者人口は3395人で高齢化率(65歳以上の人口/日本の全人口)は26.8%。
団塊の世代が75歳を迎える2025年には65歳以上の人口は30.3%、75歳以上の人口は2179万人(18.1%)になるだろうと予測されています。
また、平均寿命をみますと、2010年の日本人の平均寿命は女性が86.39歳、男性が79.64歳となり、女性は世界で一位、世界有数の長寿国です。
一方、厚生労働省によると、2010年(平成22年)の健康寿命の平均は男性が70.42歳、女性が73.62歳となっています。
健康寿命とは、平均寿命から介護や病気で寝たきりの期間(自立した生活ができない期間)を引いたものです。
つまりは、女性で平均12.77年、男性で平均9.22年、高齢者の時期で介護が必要な期間があるということになります。
現在は高齢の方は勿論、まだ高齢者ではないという人も、今から高齢になったときのことを考えておく必要があります。

人生の終末を考える

 ピンピンコロリ(PPK)を望む高齢者が多いようですが、それほど多くなく、5%程度といわれています。
しかし、実際にその前の晩まで元気で朝見てみたら息をしていなかった、というピンピンコロリの状況が実際にあったとしたら、、。
救急車を呼ばないといけないし、警察が来て事件性がないかをみないといけないし(一番最初に調査されるのは第一発見者である家族です)、で大変なことになります。
本人にとっては穏やかな死であっても、家族にとっては少しも穏やかな最期ではありません。

ちなみに、日本人の死因で多いものは1位 がん(36万人)、2位 心疾患(19.8万人)、3位 肺炎(12.4万人)、4位 脳疾患(12.1万人)、5位 老衰(6.1万人)となっています。

また死亡場所をみてみますと、1951年(昭和26年)、自宅での死亡は82.5%を占めていました。
病院死9.1%にすぎませんでした。そこから段々病院で亡くなる方が増え、1976年(昭和51年)に自宅での死亡と病院での死亡の件数が逆転。
2003年(平成3年) 病院での死亡78.4%、自宅での死亡13.5%となっています。

最近の調査では余命が限られているときどこで過ごしたいか、という調査ではできるだけ自宅で過ごしたいという意見が大体どの調査でも7-8割はでます。
しかし、実際に自宅での療養、最後まで自宅でいることが可能と思う人は1−2割に減ってしまいます。
なぜ不可能と思うのか、自宅以外で療養したい理由を聞くと、やはり家族に迷惑をかけたくない、というのが一番の理由のようです。

人生終末期に備える。

高齢者になってから起こりうること・考えておかなければならないこと

  などを予想しないといけません。

自分らしく人生を締めくくるためには、体力の低下、病気などのために身体が不自由になる、寝た切りになったとき、自分はどういう医療をうけたいか、どこで過ごしたいか
を家族と相談しておく、といったことが重要となってきます。
実際にそのようなことを家族で話し合った人は少ないようです。最近の調査で、厚生労働省は、死が迫った際の終末期の医療について、国民の半分以上が家族と話し合ったことが「ない」とする報告書をまとめました。
厚労省の検討会の報告書によると、2013年3月、20歳以上の男女およそ2,200人に調査したところ、終末期医療について、家族と話し合ったことが「ある」と答えた人は42.2%で、「ない」と答えた人は55.9%でした。

自分の終末期の希望を書いて残しておくことも大事です。
エンディングノート、リビングウィル、事前指示書といったものがあります。

エンディングノート

人生の終末期に自身に生じる万一のことに備えて自身の希望を書き留めておくノートのことで、書かれる事柄は特に決まっているわけではなく任意です。
項目としてよく記載される項目は、

  1. 病気になったときの延命措置を望むか望まないか
  2. 自身に介護が必要になった際に希望すること
  3. 財産・貴重品に関する情報
  4. 葬儀に対する希望
  5. 相続に対する考え方
  6. プロフィール・自分史・家系図などです。

リビングウィル(尊厳死協会)
尊厳死協会に入会して、下記の宣誓書を準備・サインしておきます。


以上、尊厳死協会のホームページから引用しました。

事前指示書
自分で意志を決定・表明できない状態になったときに自分に対して行われる医療行為について、あらかじめ要望を明記しておく文書です。
リビングウイルもこれに含まれます。DNR(蘇生をしない)、医療判断代理委任状などがあり、アドバンスディレクティブ。AD(advance directives)とも呼ばれます。
書式は決まっていません。市販のものありますし(私の生き方連絡ノートなど)、病院のホームページに記載されているもの(国立長寿医療センターなど)もあります。

療養場所、入院の希望、食べられなくなったとき、判断力が低下したとき、血圧低下したとき、輸血が必要なとき、透析が必要なとき、人工呼吸が必要なとき、 などを記録しておきます。
また、先ほどの厚生労働省の調査では、受けたい医療などについて、書面に記載しておく事前指示書を作成している人は、3.2%にとどまった。
報告書では、終末期医療について、より関心を持ってもらうため、看護師などの相談員を配置することが盛り込まれた。
厚労省は、2014年度、全国10の医療機関に配置する予定、とのことです。在宅医療のことを書くつもりが、イントロだけで終わってしまいました。次号に続く


◆アネトス通信

陽春の候、皆様風邪など召されずにお過ごしでしょうか

先週「僕のいた時間」というドラマが完結しましたね。 ストーリーは、生きる目的を漠然としか考えていなかった若者が、ALSという難病に侵され命のリミットを初めて 意識した時、主人公は自分の病気や家族、恋人とどうむきあっていくのか、残された人生を模索していくものでした。終末期や難病の方と接することの多いこの職場で、心理的変化について考えることはとても重要なことだと感じます。

キューブラー・ロスは終末期患者の心理的プロセスを 5 段階に表しています。

否認 :
   えーっ!!癌だってぇ!何かの間違いではないのか・・・・

        ↓

怒り:
   なぜ、私が癌にならなければならないの!!

        ↓

取り引き:
   手術しないで治す方法はないのか?

        ↓

抑うつ:
   残念だけどやっぱり私は癌なんだ・・・・

        ↓

受容:
   仕方がない、これも私の運命だとあきらめよう  残りの日々を有意義に生きよう!!

必ずしも全員がこのようなプロセスをたどるとは思いませんが、その時々の心理的プロセスに沿った関わりができればと思います。
ちなみにこのドラマの三浦春馬君のプロセスはこれにあてはまりますか?? 
あっという間に受容できていたような・・・・  
人生ほんとに何が起こるかはわかりませんからね・・・

話は変わりますが、2月末よりアネトスに職員が一人増えました。
介護支援専門員や介護福祉、福祉用具等の資格を所持し  介護に関してはスペシャリストです??
気さくで明るい人です・・・  (^_^)v

新しいメンバーを加え、アネトスではよりよい看護、介護ができるように今後も努めていきたいと思います。

◆編集後記

4月水曜日、午後診療を休診します。

※午後休診日:2日・9日・16日・23日・30日

午前診療は、通常通り行います。

予約日の調整・変更などご迷惑をおかけいたしますがご了承ください。